こんにちは。看護師大家のたかのです。
今回は、私が過去に所有していた戸建物件の、**購入から売却までの「リアルな収支」**を全公開したいと思います。
その物件とは、北海道・小樽市に位置する築56年の古い戸建て。利回りは20.9%でしたが、私はこれをわずか1年8ヶ月という短期間で売却しました。築古戸建てについては過去にも記事を書いているのでこちらも参考にしてみてください。築古戸建不動産投資のメリットとデメリット
なぜ高利回り物件を手放したのか? そのすべてを具体的な数字と共に解説します。
ぜひ興味のある方は最後まで読んでみてくださいね。
1. なぜこの物件を買ったのか、そしてなぜすぐ売ったのか
「利回り20.9%」の築古戸建てとの出会い
私がこの戸建てを購入したのは、1棟目のアパート購入前のことでした。当時は、次のステージである**「より大きな融資」を見据え、「法人としての賃貸経営実績」と「次の頭金となるキャッシュ」**を増強することが目的でした。
そこで目を付けたのが、地方の築古戸建てです。高利回りが狙える上に、現金で取得できるため、法人実績作りに最適と考えました。
実際に私が購入した物件は以下の通りです。
- 物件所在地: 北海道小樽市
- 物件概要: 築56年、4LDK、土地約100㎡(再建築可)
- 購入時の魅力: オーナーチェンジ物件で、リフォーム費用ゼロ
売却を決断した理由
順調に家賃が入る物件をなぜ手放したのか? 理由はシンプルです。
**「より大きな成果を得るために、キャッシュを確保する」**ためです。
当時、私は3棟目となる次の物件の購入を視野に入れていました。物件規模が大きくなると、当然ながら必要な**自己資金(頭金)も必要となります。この小樽の戸建てを売却することで得られる「まとまったキャッシュ」と「利益確定」**は、次の挑戦のための強力な軍資金になると判断したのです。
つまり、この物件は私の不動産購入において、**「利益を生み出すと同時に、次の資金を調達する役割」**を担う、戦略的な位置づけでした。
2. 物件概要と「初期戦略の成功」
価格交渉の成功と初期投資額
この物件は当初320万円で売り出されていましたが、私は思い切って50万円の指値(値下げ交渉)を行い、270万円で契約することができました。
| 項目 | 金額 | 備考 |
| 購入価格 | 270万円 | 320万円からの指値成功 |
| 購入時仲介手数料 | 15万円 | |
| 初期投資総額 | 285万円 | 融資は利用せず、法人キャッシュで購入 |
家賃は月々47,000円でしたので、この購入価格に対する**表面利回りは約 20.9%**という高水準でした。

初めて指値が成功してすごい嬉しかったことを覚えています(^^)
勝利の初期戦略:「リフォーム費ゼロ」
築古投資で最もリスクとなるのが、リフォーム費用です。しかし、この物件はオーナーチェンジであったため、購入時のリフォーム費用はゼロでした。これが物件を選択した際の重要な判断基準です。手直しがあればいくらキャッシュがあってもなくなっていきますからね。
3. 運用期間中のリアルな収支公開
1年8ヶ月(20ヶ月)の運用期間中、実際の手取りキャッシュフロー(CF)はどうだったのかを公開します。
I. 運用期間中の総収入
| 項目 | 計算 | 金額 |
| 家賃収入 | ¥47,000 × 20ヶ月 | ¥940,000 |
| 備考 | オーナーチェンジ後も退去なし。空室期間ゼロ。 |
II. 運用期間中の総支出
| 項目 | 計算 | 金額 | 備考 |
| 管理手数料 | ¥5,000 × 20ヶ月 | ¥100,000 | |
| 固定資産税 | ¥15,000 × 1.67年 | 約 ¥25,000 | |
| 火災保険料(純支出) | ¥150,000 – ¥11,000(返戻金) | ¥139,000 | 途中で解約したため返戻金あり |
| 突発的修繕費 | ¥0 | 入居者様の協力もあり、大きな修繕は不要 | |
| 総支出合計 | 約 ¥264,000 | (購入時仲介手数料を除く) |
III. 運用期間CFの結論
- キャッシュフロー(CF)合計: ¥940,000 – ¥264,000 = 約 ¥676,000
わずか1年8ヶ月で、約67万円のキャッシュを純粋に手元に残すことができました。これは初期投資(購入費270万円)の約25%にも相当する驚異的なリターンです。
物件価格のわりに良いキャッシュフローだと思います。
4. 「売却」の決断とトータルリターン
目標であった「キャッシュの確保」のため、運用開始から1年8ヶ月で売却に踏み切りました。
売却価格とキャピタルゲイン
| 項目 | 金額 | 備考 |
| 売却価格 | 300万円 | |
| 購入価格 | 270万円 | |
| 売却益(譲渡益) | 30万円 | 厳密な譲渡所得税の計算は法人会計士と実施。 |
購入時よりも30万円高く売却できたため、キャピタルゲインも確保できました。
売却経費の現実(ここが落とし穴!)
しかし、売却時には大きな経費がかかります。
| 項目 | 金額 | 備考 |
| 売却時仲介手数料 | 36万円 | 売却価格300万円に対する料率(3%+6万円) |
売却益30万円に対して、仲介手数料が36万円と、売却益を上回る結果となりました。不動産は「売る時」に大きなコストがかかることを痛感しました。
最終的な手残りキャッシュ
最終的に、この投資で得られた手取りキャッシュは以下の通りです。
最終手残りCF = 運用CF合計 + 売却益 – 売却時仲介手数料
約 676,000円 + 300,000円 – 360,000円 = **¥616,000**
初期投資285万円に対し、約60万円のキャッシュを約1年半で獲得という結果となりました。
5. 投資家としての最大の学びと法人活用の視点
この小樽の築古戸建て投資は、収益以上にいろいろなことを学ばせてくれました。
どんなことを学んだかというと
最大の教訓:「出口戦略」とキャッシュの重要性
この投資の成功は、高利回り(20.9%)そのものではなく、「次の投資のために、目標のキャッシュを生み出して売却する」という明確な出口戦略を達成したことです。この60万円のキャッシュは、次の3棟目購入時、銀行への自己資金証明として非常に重要な役割を果たしました。ですが過去記事で実は悔しいこともありましたので興味のある方はこちらの記事を参照してください。日本政策金融公庫の融資に落ちた話。決算書の「黒字」が持つ重みを実感した日
法人で購入するメリット
この戸建てを法人名義で購入・運営していたことで、「不動産賃貸業を営んでいる」という実績と、安定した「賃貸収入の履歴」を銀行に示すことができました。これは、今後の物件購入における融資審査に対してプラス材料となりました。
金融機関の担当者の気持ちとして実績がある大家と実績のない大家どちらに融資したいか

実績のある方に融資したい!
このように思うでしょうね。
築古戸建て投資の真実
- リフォーム費ゼロの物件は存在するが、リフォーム代がかかる場合もある。
- 突発的な修繕がない限り、短期運用でも高いキャッシュフローが狙える。
- しかし、売却時には高額な仲介手数料がかかるため、トータルの出口戦略を最初から明確にしておくことが重要。
この経験を糧に、私は次の投資へと進むことができました。
不動産賃貸業にこれからチャレンジする方は、単なる利回りだけでなく、**「その物件が自分の投資目標の中でどのような役割を果たすのか」**という長期的な視点を持つことを考えておきましょうね。
本日もありがとうございました!
夜勤を手放して見つけた、小さな幸せと大きな自由 
